2023.09.1913:53
「高速回転し始めた器〜ワンマンツアー大阪・名古屋〜(みんな読める前編)」
いつの間にか始まっていたと言うのが正しいかもしれません。
とにかく膨大な準備と事務に追われて、八月からあまり人間らしい心の使い方をせずに来ていました。単なるタスクこなしマシンとして朝から晩まで動いていたという印象です。
だから、大阪のライブハウスでリハーサルをしている時まで「あれしなきゃ、これしなきゃ、あっ、こっちもやっとかなきゃ」と機械的にこなしていたわけです。
しかし、黒木渚はそもそもそのような仕様で作られておりませんので、時々は息をする必要があります。
それこそが、ライブです。
まさしく、音楽を志した日のままの気持ちで音楽と出会い、求愛したライブでした。
一度そのモードに入るとしばらくはスイッチが入りっぱなしなので翌日の名古屋も音楽家のままの私で移動、そしてステージへ。
(あんなに大阪のライブが最高だったのに打ち上げにもいかず、翌日の名古屋へ備えたことに関しては偉すぎて何らかの勲章が欲しいです。)
(あと、良いライブが終わった直後に「ああ、明日はこれを超えるライブをしなくちゃならないのか」と思うとプレッシャーで1センチ四方の立方体に圧縮されそうです)
フォーカウントできっかりロックスターになると自分に約束していたので、一番最初の音が聞こえたらもう変身するしかありません。
数年前まではこれが怖くて仕方なかった。というかきっちり変身できなくなっていたので、半分は生身の私のまま大勢の人の前に立ち、不完全な芸を披露し生きていました。
だから、今回のライブはあの頃の私を救いに行くような、不思議な感覚です。待ってろよ黒木渚、強くなった私が迎えに行くからな。って。
バンドメンバーには何も言わなくても伝わっているのでしょう、序盤から「大丈夫?」ってくらいに飛ばしていました。
練習のときには「こんなセットリスト!殺されちゃう!」と泣き言をいっていたけれど、百戦錬磨かつ未だに中身は少年なのだから全く問題ありませんでした。笑
ポテンシャルというものについて、私は常々不思議に思うのですが、人間は自分が思うよりも、ずっとずーっと深くて大きなものを持っているんですよね。普段は認知できないようなエリアに仕舞ってあるのかなんなのか。
それで、その秘蔵の力を発動させるのはいつだって自分じゃなくて「誰か」なんです。いくら振り絞ろうと思っても開かないものが、他人によっていとも簡単に開かれてしまう、ということが多々あります。主にステージの上で。
今回の2公演では、私のみならずバンドメンバーやスタッフの「とっておきポテンシャル」が開かれちゃった気がしました。大阪、名古屋のみんなとは数年越しに会ったのにすごいよね。
また一緒に歌おうね。えへ。
FC会員のみなさんは後半の「打ち上げへべれけ談義」に続く〜